大阪大学 吉田清志
今回私は2013年後期のMurakami-Sano-Sakamaki Asia Visiting Fellowshipに選任され、2014年1月12日から21日までタイ王国のバンコクに行って参りましたので、御報告させていただきます。
タイ王国は人口約6000万人で年間平均気温28度の熱帯気候の国で、2月~5月が暑季、5月~10月が雨季、10月~2月が乾季です。
私の訪れた1月はベストシーズンであり、乾季で気温もそれほど高くなく快適に過ごすことができました。
ただし国内政情は不安定であり2014年2月の総選挙の前に2013年末頃から所々でデモが行われておりました。
バンコクへ向かう飛行機の中での新聞にて翌日から大規模デモが行われるという記事を発見し不安一杯の旅立ちでありました。
1月13日から病院見学の予定でしたが、新聞の報道通りバンコクで大規模デモがあり市内の全域にて10万人規模のデモ行進があり(写真1)見学予定の病院も通常業務は数日間キャンセルとなりデモに伴う怪我人などの緊急対応ということで3日間は病院見学が中止になりました。
fellowshipの話に戻りますが、今回バンコクにあるMahidol UniversityのSirirajHospitalのPanupan教授にお世話になりました。
彼は成人の腕神経叢損傷や小児の分娩麻痺で非常に有名な先生であり、川端秀彦国際委員長にご紹介いただきました。
滞在中は主に同じ病院の小児整形外科医であるPeerajit先生にお世話になりました。彼女は以前に日本小児整形外科学会のfellowshipで来日し大阪市立総合医療センターや福岡市立こども病院などを訪れ非常に親切に案内してもらい、今回私に対しても非常に親身に対応していただきました。
初めにバンコクになるSiriraj Hospitalを訪問しました。タイ国内最古の病院で3000ベッド以上ある非常に大きな病院でした。
整形外科もPanupan先生始めとした各分野での6名の教授、スタッフドクターが約40名、レジデントが40名程度と大規模な病院でありタイ最大の病院の1つです(写真2)。
Siriraj Hospitalではカンファレンス、手術や外来業務を見学させていただきました。カンファレンスでは前日に行った術後のX線をレジデントの先生が発表されスタッフドクターが活発に意見をされているのが印象的でした(写真3)。
手術は整形外科だけで毎日4部屋で行われ、私は主に小児整形外科の手術見学及び手洗いをさせていただきました。
なかでも先天性脛骨偽関節の患者に対してイリザロフ創外固定器を用いた手術がありましたが、手術時間が1時間半程度で非常に手早く装着されておりました(写真4)。
手術数が多いので、ほとんどの手術の手術時間は日本よりかなり短かったです。外来も小児整形外科を中心に見学させていただき、レジデントの先生がギプスカットや処置をされスタッフドクターが行き来して非常に多くの患者の診察をされておりました(写真5)。
また病院から少しはなれたところにあるSirindohorn School of Prthetics and Orthoticsという装具の学校および診察も見学させていただきました(写真6)
15ドルのDennis-Brown装具や義足なども見せていただきました。義足はやはり日本では最近使っていないような義足が多く、タイでは経済発展により糖尿病患者が増え、糖尿病壊疽による下肢切断が急増しているそうです。
Ramathibodi HospitalではタイにPonseti法を導入したAmnuay Jirasirikul先生の外来を中心に見学させていただきました。
先生は日本に留学経験があり、日本語も非常に上手でcasting、診察方法など様々な事を丁寧に解説していただきました(写真7)。
fellowship期間中、毎日Siriraj HospitalのPeerajit先生やレジデントの先生に食事や休日には観光なども連れて行っていただき、非常に楽しい時間を過ごすことが出来ました(写真8)。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えていただきました日本小児整形外科学会の皆様に心より御礼申し上げます。