新型コロナウィルス対策下における乳児の股関節脱臼健診について
– 乳児のご家族へのお願い –
新型コロナウィルスの感染拡大により、現時点では厚生労働省より、原則的に集団での股関節1次健診の実施を延期すること(感染拡大の状況により地域差があります)とされています。また、1次健診で必要と認められた2次検診につきましても、現時点で受診するかについては慎重な判断が求められています。
乳児のご家族におかれましては、適切に受診したいお気持ちと感染を避けたいお気持ちとの間でお悩みのことと存じますが、以下をご参考の上で、今後の受診時期をご検討いただければと存じます。
1)第一に優先すべきは感染予防と考えましょう。股関節脱臼は後からの治療も可能です。ただ、現時点における日本国内の新型コロナウィルスの蔓延状況は地域により大きな差があるのも事実です。お住いの地域における状況と、次の2)以下を考え合わせて、受診時期をご検討ください。
2)第二の優先は診断だと思われます。状況が許すならば、「いまどのような状態なのか」をわかっておけば、その後のプランも立てやすくなります。
・まだ股関節の1次健診を受けていない場合;本来は生後3〜4か月で健診ですが、それより2〜3か月遅くなっても通常、大きな問題は生じません。健診までの間、下の「股関節脱臼予防パンフレット」の内容をよくお読みいただき、また、パンフレット右上のQRコードからご覧いただけるアニメーション動画も是非ご参照になり、赤ちゃんを正しく扱ってあげてください。状況が許せば健診ですが、診断は小児整形外科専門医ではなく保健センターや一部のクリニックなどで可能ですので、地域の保健センターにお問い合わせください。
・1次健診ののち2次検診受診を指示されている場合;1)の感染予防を最優先しつつ、また、前述の赤ちゃんの正しい取り扱いを守りながら、状況が許せば2次検診の受診をご検討ください。生後6か月前に受診できれば理想的ですが、あくまでも可能な範囲で大丈夫です。治療まで行ってくれる専門医への受診にこだわらず、まずは診断とその後の指示をしてくれる医療機関を受診しましょう。
3)股関節脱臼の治療について;脱臼は赤ちゃんの命を奪う病気ではありません。治療については、地域における新型コロナウィルスの蔓延状況と、脱臼の状態の両方を勘案しながら、開始時期や方法を検討することになります。新型コロナウィルスが広く蔓延している地域では、ウィルス感染の治療を行っている病院は小児股関節の治療を行う余裕がない場合も多いため、医療機関の選択は診断医や保健センターによくご相談ください。
日本小児整形外科学会 理事長/健診委員会