|第一回|第二回|第三回|第四回|第五回(NEW)|日下部虎夫先生顕彰|
第二回
平成22年12月18日
理事長に就任して、1年経過しました。今回、徳島市で行われた第21回日本小児整形外科学会学術集会の総会のために用意したブリーフィングをおとどけします。
日本小児整形外科学会の収支は、ここ数年3-400万円の赤字が続いています。幸い先輩からの繰越金があるので、しばらくは運営できそうですが、このままでは、やってゆけません。しかし、学会活動はきわめて活発に行われています。会員数は減少することなく、学術会議の入場者数も増加しています。今回の徳島の学会も、安井会長のご努力の甲斐あって、地方都市での開催にもかかわらず、史上最高の入場者を記録しました。学会雑誌への論文投稿も増加しています。小児整形外科の中央研修会、地方の研修会はいつも満員の盛況です。学会としてのアクティビティーは高いのに、財政が赤字というのは学会のシステムに問題がありそうです。世の中の動き、特に、少子高齢化社会と世の中の景気の低迷に、学会のシステムを順応させなければならないのだと思います。小児整形外科学会が小さい学会であるのに、理事長制をとったのは、学会長が毎年変わるシステムでは世の中の変化に対応できないと考えたからです。理事長の私に与えられた責務はこの赤字体質を改善してゆくことにあると認識しています。
学会の財政を健常化させるにあたり、学会予算の主要部分である、学会誌発行の経費を考える必要があります。このために、e-publicationを含むIT化を検討する作業を始めますが、これには時間がかかります。即効性ある行動は、雑誌の広告掲載を促進して、広告収入を増やすことです。これまで、雑誌の広告掲載の募集は雑誌の出版業者から、企業宛てに機械的に送付されてきました。その結果、ここ数年広告掲載が途絶えていることは御存じのとおりです。広告掲載を促進するために、以下のような作戦を考えました。①企業へのお願いは学会事務局から直接本社に送るのではなく、理事にお骨折りいただきます。事務局から理事を経由し、理事と取引のある営業所、支店を通じて本社に送っていただく。この金額の広告料は本社決済でなく、営業所や支店で決済できる場合があるので、この経路を取ることが効果的だと思います。②学会誌への広告掲載は企業の業績変動によって、できない年もあるので、広告掲載が単年度契約であることを強調しました。③小児整形外科への応援は経済原理には逆行します。philanthropyに訴えるやり方が必要です。広告掲載をいただいた企業が小児整形外科学会誌を応援していただいていることを第22回日本小児整形外科学会学術集会(日下部虎夫会長、京都市)の会場と学会誌の誌上で顕彰させていただくようにしました。
2つ目は前回のブリーフィングからの継続事案で、非医師の会員についてです。日本小児整形外科学会会則には非医師の入会規定はなく、入会を認めるためには会則の改訂が必要です。会則改訂について、学会あり方委員会で検討を始め、その結果がまとまりつつあります。これまで、理学療法士や看護師が学術集会で発表することを学術集会会長の裁量で認めてきた実績があります。今後も、学会活性化のために、非医師の参加をできるだけ受け入れるというのが会員の一致した意見です。あり方委員会の意見も、できるだけ非医師に門戸を開くのが良いというのが大勢ですが、議決権と評議員や役員になる被選挙権を持たない準会員として入会を認める方向で検討しています。学会発表や論文投稿、学会誌の配布については、会員と同じに参加していただきます。学会誌配布の経費を考えて、学会財政に大きな負担をかけない範囲で、準会員の年会費は正会員よりも低く設定する。今回の総会ではこの方針をご紹介し、しばらく会員からのご意見を伺った上で、次回京都の学会の時の総会で決定する方針です。
徳島市で行われた第21回日本小児整形外科学会学術集会は大成功でした。なかでも学会初日、11月26日のPonseti Memorial Symposiumは大変すぐれた企画でした。シンポジウムのあとPonseti教授に対して全員で黙とうをささげた後、阿波踊りの一団がなだれ込むようにステージにのぼってくるのはすばらしかった。あらためて阿波踊り、盆踊りが、死者の鎮魂のための儀礼であることを認識しました。本当に格調高い演出でした。